1967年9月、当時の株式会社和気商店の専務であった和気博史は、モントリオール万博の視察のためにカナダへと飛び立ちました。
モントリオール万博の目玉となっていたのは、宇宙関係の最新の展示を行っていたアメリカ館とソ連館。しかし、博史が注目したのはイギリス館の中の「DIYをする人々」のマネキン展示でした。
今回は、博史がイギリス館の展示から学んだことは何であったかを考察していきます。
前回の内容はこちら!
なぜイギリス館の展示を見に行ったのか
これまでのブログで、勉強熱心で仕事人間であった博史は、仕事が休みである土曜の夕方は青年会議所へ行き、日曜はデパートで売れ筋の視察や図書館で勉強していたことを明らかにしました。
また、そこで博史が
- 1967年にモントリオール万博が開催されること。
- 海外から日曜大工という文化がきていること
- 当時取り扱っていた家庭金物に比べ、工具は小さくて高価であること
を学び、少しでも早く海外の文化を知りたいと思うようになったと記載しました。
しかし、現在残っているモントリオール万博の資料はほとんどがアメリカ館とソ連館の紹介で、イギリス館の中の「DIYをする人々」の展示に言及している本や雑誌はほとんど見当たりませんでした。そのことから、博史は図書館でモントリオール万博の情報を得た時点では、まだ「DIYをする人々」の展示があることは知らなかった可能性があると考えられます。
しかしながら、「DIY」という新たな文化が欧米で生まれて発展したことを知った博史は、当時の日本が欧米諸国にまだまだ遅れをとっていると気づいていたはずです。そこで、彼は欧米諸国のリアルタイムでの生活の様子が展示されているイギリス館の「今日の英国」の展示に注目し、そこで改めて「日本の日曜大工」ではなく「欧米諸国のDIY」という文化に触れることができたのだと推察できます。
和気産業の展示
和気産業は1960年頃から、さまざまな展示会に出展してきました。最初は什器に商品を並べるだけでしたが、徐々に技巧を凝らすようになっていきます。
それではここで、会社のアルバムに残っている展示会の写真の一部をご紹介します!
1960年代


棚に商品を並べる展示ですが、会場には桜やヤシの木が飾られています。それぞれ4月頭と9月頭の展示なので、季節感を重視していたのかもしれません。
1970年代

ラワン材についての説明と共に、輪切りの木材そのものを展示。同じころに開催された高島屋堺店日曜大工まつりでもこの木材の展示の写真が残されていました。
1970年代後半になると、大胆な装飾をするようになります。


壁には本物の自転車、そして会場にはオーバーオール姿のマネキン。
モントリオール万博でマネキン展示を見てからちょうど10年の月日が経ち、ついに自社の展示にもマネキンが取り入れられました。
1980年代
1980年代に入り、展示はさらに個性的かつダイナミックになっていきます。

大きな金槌が入り口にそびえていたり、


工事現場のように足場で囲われていたり、

樽から大量の釘が流れる、「釘の瀧」がお出迎えする年もありました。
また、大きなオブジェといえば、


巨大な南京錠が登場した年もあります。名前は「オバケ錠前」。
この「オバケ錠前」の大きさの材料から50mmの錠前が何個作ることができるかを当てるクイズも行われ、正解者のうち50名に錠前セットがプレゼントされました。
さらに、クイズ付きの展示でいうと、

こちらは、24人が5日間かけて作った、釘でできた似顔絵です。7種類、35000本の釘が使われています。
あまりのクオリティに、似顔絵になった本人もご満悦の笑顔。
こちらも使用した釘の総重量を当てるクイズが行われ、当選者には商品が後日郵送で届いたようです。
ダイナミックで楽しい展示の根幹には、博史がモントリオール万博のイギリス館の展示に衝撃を受けた体験が活きているようにも見えます。
展示会では、ただ商品を美しく陳列するだけでなく、来場者に「衝撃やインパクトのある出会いの場」を提供することを大切にしていたのではないでしょうか。イギリス館でマネキンが与えた強烈な印象が、博史にDIYへの可能性を確信させたように、和気産業のユニークな展示の数々もまた、訪れる人々にDIYの楽しさや新鮮な驚きを届けるための工夫だったのではないかと考えられます。
こぼれ話
展示会のディスプレイに力を入れてきた和気産業。
今年も、8月27日~29日に幕張メッセ国際展示場で開催される「第62回 JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2026」に出展します。

さすがに釘でできた似顔絵や巨大な南京錠はありませんが、「DIY界隈」をテーマにさまざまな商品の展示や、実際に商品を体験できるエリアなどでみなさんをお迎えします。
和気産業のブースは5ホールの5B24。みなさんのお越しをお待ちしております!
※この記事の内容は、弊社社史「和気産業65年の歩み」、「和気産業80年の歩み」ならびに2025年9月時の関係者への取材を元に作成しています。



